夏の月夜と狐のいろ。



シアンはゆっくりと首をめぐらせた。

今日はきっと、人格の移動をさせられるはずだ。


今日死ぬかもしれないと思うと、恐怖で体が再び震えた。


「死にたくない…!」

シアンが、ぽつりと呟いたその時研究室の扉がキィッと静かに開いた。

あまりにも早いその時に、シアンは怯えを隠せなかった。



「やめて…!死にたくないの…!」



無駄だとわかりながらもシアンは、震える声で叫ぶ。

きっと、そんなことどうでもよさそうなラシッドの冷たい声が返ってくるんだろう。

そしてまたあの痛みを味わって、死んでしまう。

そんな未来を予想した。



けれど、返ってきた声は予想とは違うものだった。






「死なないよ、シアンは」


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