夏の月夜と狐のいろ。



身体中の血がかけめぐって、耳元で血がごうごうとなる。

気がつくとシアンは狐の姿に戻ってラシッドに襲いかかっていた。


「っ!」


思ったよりも早い動きにラシッドは避けきれずによろめいた。


そこにすかさずシアンはのしかかってラシッドの胸のあたりを潰す勢いで前足に力を込めた。



まわりはみえない。


ラシッドだけが視界に入っていて、怒りで息ができない。



『グルルルル…』



シアンは唸りながらラシッドの首筋に九尾の切っ先をかまえた。

けれどラシッドは、苦しそうにしながらも余裕そうに微笑んだ。



ーどうして笑うの!?




シアンはさらに前足に力をこめた。

ラシッドの骨が、軋む。

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