夏の月夜と狐のいろ。
ラシッドは愉快そうに口元を歪めて、今度はシアンとクロを交互に見た。
「おい子狐。お前のお父様―ティアドールを捕らえたのも、森を燃やしたのもお前を助けに来たその少年の仲間の魔術師だぞ?」
シアンは、驚いて目を見開いた。
何かをとなえながらお父様をかこむ、人間たちを思い出した。
それに何でラシッドはお父様や、森のことを知っているの?
「なん、で・・・」
シアンが途切れ途切れに言うとラシッドは首を振って見せた。
「知ってるも何も、あれをやらせたのは俺だ。
お前のお父様も、ここにはいないが俺の手の内だ。」
シアンの体が、びくりと揺れた。
びくびくと尻尾がふるえ、逆立つ。
怒りがシアンを支配していた。