オレンジどうろ




「すーちゃん危ない!」


それは体育の授業中。

女子は校庭でテニス、男子は隣にある体育館でバスケをしていた。休憩で端に寄り、彩ちゃんと話していた時のこと。再び事件発生。


体育館の窓から平田くんが私に危ない、と叫んだ。前を向いたとき、テニスのボールが私の顔の前まで来ていた。私は初めて自分の反射神経の良さに感謝した。


その黄色の毛がモサモサ、とした球を私はパシッ、と何でもないように取った。硬式の球だから当たるとそれなりに痛い。

当たらなくて良かった、と平田くんに感謝しつつ周りをさり気なく見回してみる。コート横にロングの女の子が二人ラケットを持って私の方を見て笑っていた。


あぁ、この子たちか。


理由はある。
今朝からずっと私を監視するように、悪く言ってしまえばストーカーのように付いて来ていたのだ。もちろん、離れた所に彼女らはいたけど、私の観察力をなめてもらっちゃ困る。


「スミレ大丈夫!?」


突然過ぎる出来事に固まっていた彩ちゃんだが、やっと我に帰ったらしい。私は大丈夫、と笑顔を彩ちゃんに向けた。

とりあえず、周りにも迷惑かけてしまうから犯人とお話をして解決しなきゃね。


確か、隣のクラスの田島さんと豊永さんとかいう人たち。

私は笑顔を崩さず、二人の元に。こっちに向かってる、と察した二人は動揺しているようで目をパチパチしている。


「田島さん、豊永さん。後で、いいかな?」


プライドが高いのか、二人はしょうがないわね、と呆れたような感じで言って来た。やっぱり、この二人は多分根がいいこだ、と私は思った瞬間でもあった。

なんで、と聞かれたら分からない。

だって、私のカンなんだもの?




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