BLOOD・CONTRACT


「…ハァ…しかたないか…何かあった言霊で「だーめ」」
後ろからすごい力で口を塞がれる。
「んっ!んー!」
「静かにしなよ。つか、あんたの友達鬱陶しいなー、やっと行ってくれた」
その声は紛れもなく吾斬ルアンのものだ。
「んっんっはっなし…てっ!」
「聞けないお願いだなー。さあ楽しい夏休みの始まりだ」
するともう1つの足音がして、金髪の女が出てくる。
「こんにちは。浅宮さん。私とは始めましてね。私、クロエ・ルーシュバーっていうの、仲良くしてね」
純な金髪、純な金の瞳。どこか魔女を連想させるその妖艶な容姿。
奏都は恐怖で支配されていた。
早く逃げないと!殺される!その考えばかり過ぎる。
だが口を塞がれていて言霊が使えない。
「さあちょっと眠ってもらうわよ」
「!」
クロエの手からは注射器が出され、その中には青色の液体。
良くないものだとすぐわかる。
「んっ!んぅー!!」
「暴れんな!」
吾斬の押さえる力はどんどん強くなり息苦しくなってくる。
そして、クロエは奏都に近づき、首筋に注射器を近づける。
「んっ…んー!」
「おやすみなさい」
プツッという音と共に奏都の中に流れ込む液体。
「んー!ん…んっ…」
最初は抵抗していたが、猛烈な眠気に襲われ、そのまま意識を手放した。


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