BLOOD・CONTRACT

途切れ途切れになる意識の中で、奏都の目の前にいたのは母だ。
次女として生まれた母は生贄としては生きなかった。
殺し屋として生きて、父と出会い、奏都が長女として生まれた。父も殺し屋だったから2人は常に恨みを買っていて、ある日殺された。

奏都が5歳の時だった。

母の顔はうるおぼえだが、写真で見たことはある。胸ぐらいまである茶髪の髪は結ったりとしたカールがかかっていて、目は日本人特有の細い目。顔のパーツは整っていて美人という部類だろう。
奏都が唯一覚えているのは殺しから帰ってきた母が奏都に対して

"人並みに…普通の女として生きたかった…姉さんももういない。私だってもうすぐ殺されるかもしれない。奏都…ごめんね。あなたの人生…狂わせちゃうのはママのせい…ママを責めて…あなたは生まれてこない方が幸せだったはず…"
そう言って涙を溜ながら苦しそうに言う母を今でも鮮明に覚えている。
5歳の奏都にはよく意味が分からなかっただろう。だが、母が悲しんでいるのはわかった。

< 21 / 24 >

この作品をシェア

pagetop