猫と宝石トリロジー①サファイアの真実
日向は美桜をベッドまで連れていくと、枕とクッションを積み重ねて、一緒にベッドに上がった。
その間にタキさんはベッドサイドにミルクティーを用意してくれた。
「単なるケンカじゃないのね」
あれだけ泣きじゃくったのに、美桜の瞳からはまだ涙が流れている。
「違うわ、私フラれちゃったの」
「さあ、飲んで」
大人しくカップを受け取って、美桜は一口ミルクティーを飲んだ。
「何があったのか話せる?」
「たぶん、でも支離滅裂になるかも」
「いいわ、取り合えず順を追って話してみようか?彼の実家に行くって所まではメールで聞いてるわよ。
確か彼の家にお泊まりしたのよね?」
「うん、あの日絢士さんは私に愛してる、って言ってくれたのに……」
美桜の瞳から止まりかけた涙がまた大粒で溢れてくる。
「あーもー!榊 絢士!殴ってやる!」
「違うのよ、全部私が悪いの、私が始めから自分の事を打ち明けていれば、こんな事にはならなかったのよ」
「自分を責めるのはやめなさいよ、それに関しては私にも責任はあるわ」
「絢士さんは利用しなかったし、逃げ出したりもしなかったわ。私が望んだ通りただ受け入れただけ」
「でも結局は逃げ出したんでしょう?」
「違うわ、彼が受け入れて出した答えが、私では彼を幸せに出来ない、だったの」
「何よそれ?」
「あのね……」
美桜はザ・トキオでの西園寺とのやり取り、そこに絢士さんが居た事、鶴吉屋の次男さんが部下だったことを話した。
「何よ、西園寺!今更いい人ぶったって私は信じないんだから!」
始めから西園寺を毛嫌いしてた日向にとって、美桜の話は受け入れがたいものだった。
「そうね、ひなはそれでもいいのかも」
「それになんなの?!鶴吉屋の次男てあの草食系の優男でしょう?男のくせにお喋りなんて最低ね!」
日向は鶴吉屋さんのあんみつが大好物で何度か食べに行ってたくせに。
「彼は何も知らなかったんだから仕方がないわよ」
日向はふんっ、と鼻を鳴らした。