猫と宝石トリロジー①サファイアの真実
「いいわよ」
「本当に?」
「これまでの最低な事を三十個ほど思い出したから平気よ」
「そんなすぐに思い出せるほどあるの?」
「ふんっ、モデルを舐めないで!五分あればもっと思い出せるわよ」
「……すみません」
「さあ、私が傷つくかもって何の事?」
「えっと、絢士さんのお母様に会って……」
美桜はみゆきさんと綾乃さんのこと、
志都果さんとハワイで話したことを話して聞かせた。
「ママったら、そんな切ない事してたのね」
日向は今にも泣き出しそうな顔になった。
「あーもう!だから傷つくかもって言ったでしょう!
やっぱりこの話やめるわ」
「へ?私傷ついてないわよ」
確かにちょっと辛いけど、同じ女としてはママを責めることはできない。
「え?」
きょとんとする美桜に、日向は苦笑った。
「だってママは後悔してないはずだもの。愛してる人を全力で手に入れて、結局はギブアップしたけれど、幸せだったと思うわ。少なくとも私は二人の娘で幸せだったと言えるもの」
「ひな……」
「さあ、続きがあるんでしょう?美桜の推理?聞かせてよ」
そこまで言われたら、もう話すしかない。
美桜はベッドの上で居ず舞いを正した。
「絢士さんの部屋で別れ話をした時、私ね、どうしても別れたくなくて何か繋がりをと思って、最後に絵の話をしようとしたの」
「頑張ったのね」
日向に優しく笑ってよしよしと頭を撫でられて、美桜はまた泣きそうになった。