天神学園高等部の奇怪な面々31
と。

「みんな飲むなぁっっっっ!」

突然器を引っ繰り返して、写楽が叫ぶ!

「このお茶の中に毒が入っているものがある!」

ケープを翻し、キャスケットの隙間から覗く眼で虫眼鏡越しにお茶を見る写楽。

お前、茶ぁ点てた御衣黄の前でよく言えるな、そんな事。

「…お茶にはおかしなものは入っていませんよ」

しかし御衣黄は大人だ。

写楽の失礼な物言いにも気を悪くする事なく、結い上げた淡緑色の髪を揺らして微笑む。

「これだから愚民は…偉大なこの八坂 春院に尊敬の念を覚える者はいても、殺めようなどという者がいる筈がないだろう。僕は前世でこの世界の破壊者、来世でこの世界の再生者となる者だよ?毒殺なんかしたら、世界を滅ぼす事と同義だぞ?」

どこまで本当の事なんだか、春院が華奢で小柄な体をいっぱいに使って偉そうにするのも気にせず。

「お茶に入っていないなら、器に毒が塗ってあるんですねっ?何という巧妙なトリック!犯人はこの中にいる!」

どうしても殺人未遂にしたいらしい写楽。

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