狼と仔猫
ハルもひとりぼっちでした。

お母さんは、ハルを産んですぐに亡くなってしまいました。

お父さんは既に亡く、兄弟もいませんでした。

ハルは小さな身体を生かし、弱々しい外見とは裏腹に力強く生きてきたのです。


厳しい自然界の掟に、たった一匹で耐えてきたのです。

しかし、ハルはそろそろ自身の限界を感じていました。

食事も毎回、満足できる量ではないのでした。


ハルとクロが出会ったあの雨の夜…

ハルは死ぬ覚悟をしていたのはそのせいだったのですね。

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