RUBY EYE
摩耶?
殺してもらいたい?
月野の答えを待たず、時臣は話を進める。
「7年前。当時の十夜の許婚であった桐条 摩耶は、ある事件を起こした」
知っている。
月野は畳を見つめながら、理解しようと頭を必死に働かせた。
「かねてから、摩耶の存在は危惧していた」
分家の中でも、桐条は最も本家に近しく、摩耶もまた、力が強かった。
綾織の更なる繁栄のためになると、摩耶を許婚にしたが、間違いだったと後に気づく。
「あれは危険だ。だから、私は摩耶を殺すよう命じた」
「じゃあ―――」
「だが、両親は摩耶を生かし、今まで地下牢に隠してきた」
摩耶は生きている。
その事実に、月野は言いようのない感情に支配された。
十夜は知っているのだろうか?
「我々では殺すことが難しくとも、お前ならば容易に殺せる。そうだろう? ―――ダンピール」
考えに考え抜いて出した結論だ。
仮にも、彼女は音無 美鶴の孫。
調停を担う音無家の怒りを買うことも考えた。