RUBY EYE
しかし、彼女は一族を捨てた慧の娘。
それを盾にしてしまえば、音無の怒りなど大して恐ろしくもない。
「私、できません」
月野はようやく、自分の気持ちを発した。
このまま黙っていれば、無理矢理にでも承諾させられてしまう。
「どうして皆さん、私に・・・・・・殺してばっかり・・・・・・」
美鶴は、そのために自分を呼んだ。
光彦は、お前が殺すんだ、と言って、月野に自分の心臓を貫かせた。
そして今、時臣も殺してほしいと言う。
「お前がダンピールだからだ。奇跡とも言えるその存在と力。使わぬ手はない」
災いを呼ぶということは、同時に特異な力を持つということ。
それが利用できるものであるなれば、利用するだけの話。
(あの男に乗せられているような気もするが、まぁいい。今は、乗ってやろう)
静貴の笑顔と囁きが脳裏に浮かんだが、時臣は顔色を変えずにいた。
「私はものじゃありません! そんなこと、絶対にしない」