RUBY EYE

月野の叫びと共に、廊下が騒がしくなり始めた。


「何事だ?」


時臣の問いに応えるように、襖が開かれた。


「・・・・・・摩耶」


忌ま忌ましいものでも見るように、時臣が眉間を険しくする。


(この人が、摩耶さん・・・・・・?)


とても綺麗な人だと思った。

化粧も着飾ることもしていないが、溢れ出る艶やかさがある。


「おじ様、その女が“月野”?」


摩耶の声は、澄んでいる。

内面に孕む狂気を浮き彫りにするかのように。


「秦、摩耶を連れていきなさい」

「はっ」


秦が摩耶の手を取ると、彼女は躊躇いなくナイフで切り付けた。

注意深く見れば、彼女の服や肌に、赤い血の跡が見える。

行く手を阻む屋敷の者を、傷つけた証拠だ。


「摩耶。部屋を出るなと言ったはずだ」

「だって、仕方ないんですもの。その女が、十夜をたらしこもうとするから」


摩耶の鋭い視線が、月野に向けられる。


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