RUBY EYE
気にしすぎかもしれない。
そう、気のせいだ。
何度も自分に言い聞かせたが、それを上回るように、おかしな事が続く。
「綾織くんは、いずれわかる、とか意味深なこと言うし」
頭の中が混乱してしまいそうで、月野は日記を取り出した。
毎日欠かさずつけている日記は、もう何冊目になるだろう。
「・・・・・・薔薇の香り」
開け放たれた窓から香るのは、むせ返る程の薔薇の匂い。
窓から顔を出せば、中庭に十夜と祖母、美鶴の姿があった。
(おばあちゃんに頼まれた、って言ってたけど・・・・・・)
何を頼まれたのだろう?
こっちの生活に慣れるまで、気にかけてほしいとか、そういうこと?
だとしたら、傍にいろ、という十夜の言葉は当てはまらない。
「ホント、変なことばっかり」
窓を閉めて、月野は日記を書きはじめた。