RUBY EYE
腕を消毒し、包帯を巻いていく。
(摩耶を牢から出したのは、静貴さん―――静貴で間違いない)
証拠はないが、十夜はそうだと確信した。
摩耶が持っていた刃物は、恐らく静貴が渡したのだろう。
だが、何のために?
(それに、伊織さんは何故・・・・・・)
自分の意思で動いているように見えなかった伊織。
まさか、静貴に従っているのか?
(光彦は、彼等に利用された。摩耶を牢から出すための陽動に使われたんだ)
哀れだと思うが、同情はしない。
光彦にも、光彦の思い描く理想があり、それを叶えようと動いた結果なのだから。
(静貴の目的は、何だ? 当主の座は有り得ない)
このままでいれば、静貴は自然と音無の当主になれる。
そもそも、当主になるために摩耶の存在は必要ない。
(何の目的もないとしたら・・・・・・)
それが一番、厄介だ。
野心も理想もない、気まぐれや享楽的な行動は、底が見えない。