RUBY EYE
静貴は穏やかな笑みを浮かべると、摩耶に銀色のナイフを差し出した。
「いつ、ここから出してくれるの?」
「すぐだよ」
その答えに満足すると、摩耶は嬉しそうに微笑んだ。
静貴が檻から出ると、無表情に月を見上げる伊織が待っていた。
足元には、気絶した見張り達。
「どうして、出さないんだ?」
この状況なら、摩耶を連れ出しても問題ない。
なのに、静貴は摩耶を牢に置いてきた。
「伊織さんは、好きなものは最初に食べる派ですか?」
「・・・・・・」
「僕は最後まで取っておく。楽しみは、最後の最後って、決めてるんですよ」
相変わらず、会話が妙に成り立たない。
(まぁ、どうでもいいか)
静貴に従っているわけじゃない。
かといって、自分の目的があるわけでもない。
伊織はただ、利用されているのだろう。
だが、それでいいと伊織は思う。
お互いの間に信頼などなく、見限る時は一瞬だ。