RUBY EYE
かなり深くまで切ったらしい。
血が止まらない。
「保健室・・・・・・は、行っちゃダメだった」
十夜に言われたことを、律儀に守る月野。
でも、切った指は熱くて痛みを伴う。
(すぐ戻ってくれば、大丈夫、よね?)
月野は十夜が未だ口論を続けているのを確認すると、急いで保健室へ向かった。
「良かった、先生いない」
普通、先生がいないからといって、安堵はしないのだが。
月野は保健委員だったこともあり、傷の手当に慣れている。
「えっと、消毒してから絆創膏を―――」
「怪我をしたのかい?」
「ヒッ!」
背後からの低い声に、月野は短い悲鳴を上げる。
「う、浦部先生・・・・・・」
白衣を纏い、笑顔を浮かべる保健医の姿に、月野は動揺する。
全く気づかなかった。
保健室にいたわけではないだろうが、いつの間に来たのだろう?