RUBY EYE
「あぁ、指を切ったんだね。可哀相に」
月野の手を取り、浦部がジッと指先を見つめる。
「自分で手当できますから」
「綺麗な血だね」
「は?」
なんだろう?
浦部の雰囲気が、あの時と同じように変わったような気がする。
―――怖い。
「せ、先生・・・・・・?」
掴まれた手首は、また動かない。
あの時より更に強い力で掴まれている。
「先生、離してください! 痛い・・・・・・っ」
「初めて見たときから、気になっていたんだ」
強張る体と、逃げろと指令を出す頭。
でも、動けない。
「どんな味がするんだろう・・・・・・」
「あ、味?」
いくらなんでも、これはおかしい、変だ。
身の危険を感じて、月野は必死に浦部の手を振り払おうとする。
(びくともしない・・・・・・)