RUBY EYE
あらわになる、白い首筋と胸元。
月野は顔から血の気が引いていく感覚というものを、初めて経験した。
(そんなことより逃げないと!)
立ち上がろうにも、浦部が覆いかぶさっているので、動けない。
足をばたつかせるが、抵抗には及ばない。
手首を押さえ込まれ、月野は唯一自由になる口で叫ぼうと決意する。
「―――ヒッ」
そう思ったのに、口から漏れたのは不快感を含んだ短い悲鳴だった。
首筋を、舐められた。
「な、なな・・・・・・ッ!!」
恐怖を遥かに凌ぐ不快感に、月野の口はパクパクと声にならない悲鳴を繰り返す。
「綺麗な白い肌だ。・・・・・・他の男の匂いが全くしない、無垢な肌」
確かに、月野にそういった類の経験はない。
けれど、それって肌を見ただけでわかるもの?
というか、匂いってなんだ、匂いって。