RUBY EYE

誰かを守りたいと思ったのは初めてだが、彼女を―――月野を守りたいと、昨夜、自分に謝りに来た彼女を見て思った。


「特別な感情を抱いてるわけじゃないのよね?」

「・・・・・・今はな」


先のことなど知らない。

すべては、運命の巡るままに、だ。










放課後の図書室で、月野の手は自然と、【吸血鬼】や【ヴァンパイア】と書かれた本に伸びていた。

鷹斗が教えてくれたが、特進クラスの生徒はみんな、ヴァンパイアらしい。

学校側にも関係者がおり、いろいろと手回しをしてくれているとか。


(ニンニクとか十字架、あとは太陽の光が苦手って言うけど・・・・・・)


十夜も鷹斗も愛理も、普通に昼間、学校に通っている。

全てが物語の中と同じ、というわけではないようだ。


「綾織くんも、血とか吸うのかな?」

「十夜をそこら辺の雑魚と一緒にしないで」


声が聞こえて、月野は顔を上げた。


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