RUBY EYE
わざわざ警告してくれる愛理に、月野は思わず笑みを浮かべてしまう。
「何よ?」
「ううん。桐条さん、優しいなぁ、と思って」
昨日、月野に対して負けないと言っていた人とは思えない。
本当は優しいのに、十夜の近くにいる月野を敵視してしまうのは、それだけ十夜に向ける思いが深い証拠だ。
「俺の悪口言うのはいいけど、仲間外れにするのはやめようぜ」
「うるさいっ」
愛理は容赦なく、鷹斗を突っぱねる。
(仲良いなぁ、桐条さんと香堂くん)
喧嘩するほど仲がいい、と言うし。
「あ、そうだ。月野ちゃん、香堂くん、っていうその他人行儀な呼び方、やめない?」
急にこちらを向いて笑う鷹斗。
「え、でも・・・・・・他に呼び方なんて」
「鷹斗」
顔を近づけて来る鷹斗から、月野は慌てて離れる。