RUBY EYE
それが悲しいと感じるのは、美鶴を大切な人だと思うから。
会って間もない祖母だったとしても、大切だ。
「月野。お前の存在は奇跡に等しいのよ? だから、私を救って。この運命を、変えてちょうだい」
美鶴はまるで、月野を特別な存在だとでも言いたげだ。
でも、月野は普通の高校2年生。
「・・・・・・私には、わからない」
月野は祖母の顔を見れなくて、中庭から逃げ出した。
わからない。
わかるはずがない。
愛する人を失った絶望感を知らないし、色褪せた世界を見たこともない。
美鶴の痛みや苦しみの、一欠けらだって、月野にはわからない。
だからって、美鶴の願いは残酷すぎだ。
初めて祖母に会うと知った時、不安と期待が入り混じった不思議な気持ちだった。
初めて来る土地に不安を抱いたけど、電車の窓から見えた海岸線や豊かな緑に、心が躍った。