エレーナ再びそれぞれの想い
 そんなある時の事だった。
シュウの留守中、シオミ・クレハ・グランチェスタが、学生寮のエレーナ達の所へやって来た。
「初めてお目にかけます。私の名は、シオミ・クレハ・グランチェスタ。
実は私、新天上界の者です」
エレーナ達天上界の天使達は、新天上界など知る者は誰一人としていない。
「突然の事で皆さんは驚かれたかもしれませんね。
皆さんもご存じの通り、私は、黒川忍さんと契約しています。
なつみさんのうわさで天上界の危機を知り、居てもたってもいられずにここに来ました」
新天上界の指導者は、かつて天上界の規則に反発し、天上界を離れたマリアンヌ
・AK・チルステア。
そして、マリアンヌを支持した一部の天使達と、新天上界を樹立した。
シオミは、142年前の天上界内部の対立の話した。
驚く、天上界の天使一同。
「マリアンヌさんは、天上界から離れる時に、巨大樹の若い苗木を持って行きました。
それは、まだまだ、天上界の巨大樹ほどではありませんが、成長しています。
新天上界は、天上界よりも人間界から遠く、木がまだ若い事もあり、今のところ
大きな影響は受けていません。
でも、巨大樹と同じ植物ですから、やはり清らかな人間の心がなければ、将来
枯れるでしょう」
エレーナ達は、互いに顔を見合わせた。
全てが初耳の事ばかりであった。
「私はマリアンヌさんに、今は天上界と対立している場合じゃない。
互いに協力して危機を乗り越えるべきと進言したのですが、全く聞き入れてもらえませんでした。皆さん、どうか力を貸していただけないでしょうか?」
シオミは、エレーナ達に深々と頭を下げた。
「新天上界の事は天上界は知っているのですか?」
エレーナの問いに、シオミは、
「いいえ、天上界は、私達の新天上界の存在すら何も知りません。
それに、142年前の事もあり、マリアンヌさんは天上界へいまだに根強い
不信感を抱いております。ですからまず、あなた方の力が必要なのです」
シオミは必死に頼みこむ。
「では、私達は何をすれば、よいのですか?」
エレーナの言葉に、
「今から、私と一緒に新天上界に来て下さい。そして、マリアンヌさんに
お力添えいただけるようお願いしていただきたいのです」
エレーナ達にとって、新天上界などというものは、未知なる場所。

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