エレーナ再びそれぞれの想い
恐らく、エレガンス幹部達は、貴方達、新しい世代の天使達にそれを教えて来なかった
。貴方はさっき、シュウを想う、あの少女の気持ちを感じ取ったでしょう?」
マリアンヌの問いかけにうなずくエレーナ。
「ならば、私が改めて、教える必要はない。
そんな事より、今の貴方はシュウの事で頭がいっぱいでしょ。
もし、貴方がシュウの過去を少し変えれば、彼は死ななかった事に出来る」
マリアンヌの口から出た思いもよらぬ言葉だった。
「それって規則違反じゃないですか!」
エレーナがとっさに言い返した。
「まあ、落ち着いて最後まで話しを聞いて。
貴方がする事は、医療事故があったあの日に向かい、事故が起きる前にシュウを別の病
院に転院させる事。これでシュウは死ななかった事になる。
能力を使ってシュウの寿命を延ばす訳じゃないし、また、シュウが長生きしたいと貴方
に願って、それを叶える訳じゃない。
病院を変えるだけなら、特別な力は必要ないし、契約管理システムの端末にも何の証拠
も残らない。だから違反にはならないわ」
それは、まるでエレーナに対し、マリアンヌが天上界の規則違反をしろと、そそのかし
ているかのようだ。
「でも、そんな事私には出来ません……」
エレーナは躊躇った。
「シュウ君が以前、貴方との交渉の時に確か、こう言っていたでしょう?
自分が死んで、幽霊だったおかげで、崖から転落しかけた柚原なつみさんを助ける事が
出来たって。 
そんな事をしたら、今度は、なつみさんが死んでしまいます!」
「それは、貴方がシュウの代わりに助けに行けば済む事でしょ。
シュウを助けて多少過去が変化するのなら、貴方がそれを修正すればいいだけ。
シュウは貴方にとってかけがえの無い契約者じゃないの?」
エレーナはうつむいたまま黙り込んだ。
「私達天使は、契約者から不幸を取り除き、幸せにしなければならない。
貴方達天使がそばにいながら、医療ミスを防げなかった。
それどころか、貴方達天上界は、不幸な死に方をさせた者に対してまでも協力を強いて
いる。
貴方、シュウを幸せにするために何かした事あるの?」
マリアンヌに厳しいく責められるエレーナ。
「それは……」
追い詰められたエレーナは答えられなかった。
「やはりね。そんな事だと思ったわ。
貴方は結果として、シュウのために何もしてこなかった!
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