エレーナ再びそれぞれの想い
 そこへ、
「エレガンス幹部じゃありませんか! それに新天上界のマリアンヌさんまで。
皆さんおそろいで、なぜうちの学校に?」
エレガンス幹部らが振り返ると、そこにはシュウ、さやか、中沼が立っていた。
「今、大事な話しの真っ最中だ。で、お前こそ、なぜここに?」
ジェシーが問いただすと、シュウは、
「屋上が騒がしいものですから、様子を見に来たんです。
ところで、皆さんどうしてここに集まっているんですか?」
シュウは皆に質問すると、しばし考え込んだ。
そして、何を思ったのか、
「分かりました! マリアンヌさんは、天上界を救うため、ようやくエレガンス幹部と
話しをする気になってくれたんですね」
何という事であろう。
エレガンス幹部とマリアンヌの険悪な状況を何も知らないシュウは、勝手にマリアンヌ
がエレガンス幹部と仲直りしようとしていると思い込んだのだ。
シュウがそう思い込んだ理由は、至って簡単。
シュウが新天上界でマリアンヌと会った時、彼女はエレガンス幹部と仲直りどころか、
会う事すら頑なに拒み、新天上界から全く動こうとしなかったからだ。
そのマリアンヌがエレガンス幹部と向き合っている。
だから都合の良い方へ誤解した。
そして、シュウはこの時、なぜエレガンス幹部が人間界に来ているのかという事までは
深く考えなかった。
それどころか、むしろ、エレガンス幹部もマリアンヌと仲直りするため、ここにいると
思い込んだ。
おめでたい奴という言葉はこういう時に使う物であろう。
勝手に都合よく解釈するシュウに、マリアンヌはだんだん苛立って来た。
そしてついに、シュウにこう吐き捨てた。
「全く、貴方には呆れた。お人良しにもほどがあるわ。誰が天上界なんかのために!」
「え? 違ったんですか?」
シュウはこの時ようやく、険悪なムードを感じ取った。だがもう遅い。
「シュウ、貴方に大切な事を教えてあげるわ。
貴方は、何も知らないでしょうけど、私、知っているわ。貴方の本当の死因を……」
マリアンヌの瞳が、シュウの瞳に話し掛けた。
「僕の死因?」
途端にエレーナが悲鳴を上げた。
「マリアンヌさん、やめて下さい」
だが、それもむなしく、マリアンヌは続けた。
「貴方は、本当は不適切な薬の投与で死んだのよ。つまり、医療事故よ。
しかも、エレーナ達がそばについていながら、貴方を救えなかった。

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