エレーナ再びそれぞれの想い
「エレーナ、もう貴方しかいません。これからの未来は、貴方にかかっています。後を
頼みましたよ」
エレガンス幹部は、そう言うとジェシーとともに消滅した。
エレーナは、エレガンス幹部の声が聞こえた。
「エレガンス幹部!、ジェシーさん!」
巨大樹が倒れた事を知らず、力を送り続けていたエレーナ達、そして、ライブ会場のサ
ラと観客達。
元新天上界のマリアンヌやシオミ・クレハ・グランチェスタも消滅していく。
黒川は、ふたりと最後の言葉を交わした。
「私はマリアンヌさんと、シオミさんのおかげでなつみと再会出来た。いくら感謝して
も足りないぐらい。でもこれでお別れなんて嫌」
黒川は、必死でマリアンヌとシオミにしがみつくものの、
「私とシオミは、これからもずっと黒川さん達をを見守っているから。だから悲しまな
いで」
そう言うと、マリアンヌは、シオミと共に消滅した。
やがて、さやかが静かに消滅しはじめた。
「さやかさん!」
エレーナは、消滅していくさやかに必死でしがみついた。
「お願い!後は、貴方が人間界と天上界を護って。私はエレーナさんを信じているから
。貴方は絶対二つの世界を護ってくれるって」
さやかは、徐々に消滅していく。
「待って!行かないで!」
「エレーナさんは大丈夫。周りを見て。こんなにたくさん力を貸してくれる人達がいる
でしょ」
エレーナが周りを振り返るとクラスメイト達が集まり、エレーナの杖を支えている。
「皆さん、エレーナさんの事を宜しくお願いします」
そう言うとさやかは消えた。
「エレガンス幹部、ジェシーさん、そしてさやかさんまで……」
それは、天上界の終焉を告げるものだった。
エレーナは涙が止まらない。
その時、突然、必死で天上界へ送り続けていた想いの力は、今度は逆にエレーナ達を激
しく押し返しはじめた。
エレーナ達は足をふんばり、力を送ろうとする。
巨大樹が倒れ、天上界が滅んだ事で、行き場を失った想いの力は、エレーナ達を強く押
し返したのだった。
「シュウ君、プリシラさん、さやかさん、そして消えていった全ての人達のためにも……」
エレーナは、しばらく必死で押し合ったものの、
ドーン!
行き場を失った想いの力は爆風の様になり、エレーナやその場に居合わせた多くの人達を巻き
込んだ。
「アァァーーーー」
皆、激しく吹き飛ばされた。

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