エレーナ再びそれぞれの想い
7 ポルターガイストでプールを清掃せよ!
 なつみは、シュウの追い出し作戦をまだまだ諦めない。
むしろ、ますますエスカレートいく。シュウの弱みに付け入る隙ばかり見計らっていた。
なつみはなぜそこまでシュウを嫌うのか?
ある時、シュウが日直なのに遅刻したことがあった。
なつみは、これはチャンスとばかりにシュウの弱みに付け込んだ。
「今日は白川がプールの清掃当番よ。だからみんな帰っていいよ」
「えーどうして僕が」
「日直なのに遅刻した罰よ」
なつみは、掃除用具をシュウに押し付ける。
「みんな、待って下さい。僕独りじゃ出来ないよ」
掃除当番だったはずのクラスメイト達は次々に帰って行く。
「終わるまで帰るんじゃないわよ」
なつみも寮へ帰って行った。
シュウは、独りで掃除を始める。
「困ったな、これじゃ終わらない」
シュウは、誰かに助けを借りようと思ったが、塚本千鶴も黒川忍も掃除当番じゃないので、さっさと帰ってしまっていない。
それでも誰か頼める人がいないか一度、校舎内に戻ってみた。
 
 すると、誰もいないはずの教室で物音がする。
シュウが中を覗くと、物が勝手に移動したり宙を舞っている。
「何!これ?」
驚いたシュウは思わず声を上げた。
その時、教室の扉が開き、シュウの声に気づいた市川まなみが出てきた。
シュウは、教室の中を指さし、2、3歩後退り。
「物が…勝手に…」
シュウは震えた。
「あっこれ? ポルターガイスト」
「ポルターガイストって、幽霊が騒いで物が飛ぶ奴?」
シュウの怯えに気づいたまなみが、
「どうして怖がるの? 貴方も幽霊でしょ?
これ結構便利なのよ。大きな物でも簡単に動かせるし、掃除とかすごく楽よ」
まなみは教室の天井付近をふわふわと飛び、器用にモップを操ってみせた。
「うそ、飛んでいる!」
「幽霊は、飛べるのよ。貴方それも知らないの?」
シュウもまなみと同じ幽霊。しかし、シュウは飛んだことも、ポルターガイストを使ったこともない。
いや、むしろ、今まで必要に迫られたことが無かっただけ。
シュウはまなみに、なつみからプールの清掃を押し付けられた事を話した。
「だったらポルターガイストを使えばあっという間よ」
「でも僕、どうやってやるのか分からないし」
まなみは、プールの清掃を手伝いに、シュウについて行った。
「まずこうやって、動かしたいものに霊力を集中させて」
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