エレーナ再びそれぞれの想い
「もうやめて!」
大声を張り上げた。
クラスが一瞬で静まり返った。皆、まなみに注目している。
「私の事で、言い争うのはもうやめて。なつみさんの言う通り、私は幽霊です。
私がいつまでもいるから、みんなに迷惑かけて……
本当に、御免なさい!」
そう言うと、まなみは、逃げるように教室を出た。
「市川さん!」
シュウは、まなみを呼び止めようとした。そして、
「言っていい事と悪い事があるでしょ!」
シュウはなつみに対し激怒した。

 誰もいない、学校の屋上。まなみが独り、たたずむ。
風が、まなみの髪を悲しくなびかせた。行く所が無いまなみ。
「市川さん、探しましたよ」
シュウが、エレーナ達と追いかけてきた。
「良かった。まだ居てくれたんですね」
シュウやエレーナ達はひとまず安心した。
「市川さん、僕は貴方に謝らなくてはなりません」
突然シュウは頭を下げた。
「どうして、貴方が謝るの?」
まなみは謝罪の意味が理解出来ない。
「もとはと言えば、僕が市川さんに学校へ行こうなんて言い出したからこんな事になったんです。
僕が余計な事をしなければ、市川さんにこんな思いさせずに済んだんです。
市川さんがいつも独りで寂しそうだったんで、友達が出来れば寂しくなくなると思って……
勝手な事をして、本当に御免なさい」
まなみは涙を流す。
「シュウ君は、何も悪い事をしていないじゃない。
私、シュウ君や、エレーナさん達には本当に感謝しているんだよ。
貴方達のおかげで、友達が出来た。毎日々がすごく楽しかった。
本当に、ありがとう。でもやっぱり、幽霊がいたら、怖いし迷惑だよね
私、ここを離れた方がいいと思う。だから、そろそろ行くね」
そう言うと、まなみはふわっと宙に舞い上がった。
「市川さん!」
シュウが慌てて引き止めた。そこへ、
「待って、市川さん!」
「行かないで!」
黒川と、千鶴が駆けつけてきた。他にも複数のクラスメイト達が追いかけてきた。
「柚原さんの言う事なんか気にしないで」
クラスメイト達は、まなみを必死で引き留める。
「市川さん、みんなも、行かないでって言っています。
みんなにとって、貴方が大切な友達だからですよ」
「でも、柚原さんとか、私を良く思わない人達もいるでしょう?
幽霊が苦手っていう人もいるだろうし」
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