5秒間の世界

5秒目



……

ガタンッ

椅子から飛び降りた

「コムー? まだ5秒しか経ってないよ

 どう?怖い夢みた?」

きょろきょろと周りを見渡す

周りにはいつもの部活のメンバーがいた。

にやにやしながらこちらを見ている。


そうだ、思い出した。


七海がコムにテレビで見た催眠術をかけると言った

なんでも、怖い夢をみる催眠術だそうだ

誰もしたいって言わなかったので、強制的に

「じゃあコムやって!」

と笑顔で言われたので断ろうにも断れなく

渋々やることになったのだった


と、いうことは

__私はどこか知らない草原に1人おかれて、千紗が茂みから出てきて、仲良くなり、洞窟に連れて行かれたと思うと、部活のメンバーの七海、沙耶、佳代、結音がいて、話を聞いていると、突然、怒りだして、意識を失い、起きたら家にいて、夢だったっていうとこまでを

たったの5秒間で?

あの世界を体験したのか

すごく長く感じた…。



もう二度とあんな怖い夢はみたくない


「七海たちの夢見たよ

 すっげー怖かった!」


そういって七海の頭をパチンと叩いた。


「ふうん」

とこちらを静かに見ている

冷たい目

なにかを私に訴えかけるような眼差し

身体がぶるっと震えた


「な、七海のばーか!!」

「馬鹿とか言わんでやーっ!」

と七海がにこにこしながら言う

「じゃあ催眠術成功だね!やったぁ」

「こんな怖い夢を見るなんてね

やらなきゃよかったよ!」

まぁ、本当に夢でよかった。

「まあまあ、終わったことだし!

よーしっ、部活はじめるよー!」


ノックが始まった



ボールがきたっ!!

早いっ!

あぁ、落としちゃう!

また怒られる!!!!

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