スイーツな関係
「送るよ。こんな風にさせてひとりで帰せない」
「いいの! ひとりにして! ひとりになりたいの!」


振り向かずに強く言う麗香が部屋を出て行くのを茫然と見送るしかなかった。
ソファにドサッと腰を掛け、深いため息を漏らし額に両手を置き俯いた。


ひとりにしてよかったのだろうか……。
もっと前に話し、冗談にしていれば麗香はこんなに傷つかなかっただろう……。


俺は携帯電話を手にしながら、じっとそこに座っていた。
そして、出会った頃の麗香を思い出していた。




突然、手の中の携帯電話が音を響かせ、物思いに耽っていた俺は驚き我に返る。


電話は麗香からだった。


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