スイーツな関係
俺を掴んでいた手が不意に離され、ずるずると彼女は床に座り込む。
頬を俺の足にピタッとつけたままだ。


「シェフ、彼女眠っちゃってますよ」


覗き込んで彼女を見た淳平が苦笑いを浮かべて言う。


俺はポケットから財布を取り出すと、数枚の万札を抜き取り淳平に渡す。


「これで会計してくれ」


そう言って足に寄りかかるように眠る彼女を抱き上げた。


「ごちそうさまっす!」


他のスタッフも礼を言うが、ニヤニヤしているのが気に入らない。


こいつら、俺が送りオオカミになるとでも思っているのか?
こんなに泥酔している女は興味がない。


俺はぐっすり眠る彼女の顔を見ながら店を出た。


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