好きなんて言ってあげない。
『大丈夫?』
ふと左隣から声がした。
新よりも低い、けどすごく穏やかな声。
顔をあげると、なんだか怖そうな男の子がいた。
黒い短髪で、ピアスはひとつだけ。
無表情っぽいけど背の高い、真面目な雰囲気の人だった。
チャラ男さんがずっと話してたから、よく見てなかったけど、新とはまた違うタイプの整った顔。
新は綺麗な感じで、この人は男前っていうか。
なんだか驚いて声が出なかった。
てゆうかあたしに声をかけてくれたのかわからないし。
その考えを読みとったのか、しっかりと視線を合わせてもう一度、
『梶原さん、大丈夫?』
あ、なんか。バレてるのかな。
あたしが少し不安定になっていたことに、気づいてくれたのかな。
「えっと、はい…」
それだけ言って頷いた。
すると彼は、小さく微笑んで、あとは何も聞いてはこなかった。
そこで、チャラ男さんが移動教室だからと言って、新とあたし以外は自分のクラスへ戻っていった。
なんだか、不思議な人だったなあ。
そう思っていると、新があたしの髪の毛を一束すくった。