――ああ。だけど、また故郷に帰りたくてな。俺の新党づくりは失敗だった。それは認める。


「それで通るんですか?新民党の議員たちは納得しないと思いますが」


 ――大丈夫だ。ちゃんと懐柔策も考えてある。俺も長年政界にいて、裏も表も知り尽くしてるからな。


 岩原がそう言って笑う。


 俺も察していた。


 岩原が選挙の際、ヤクザを使ったことを。


 暴力団は選挙のとき、格好の集票マシーンとなる。


 何とでもなるのだ。


 票の掻き集めのためなら。


 特に今、社自党が衆議院では圧倒的な多数派になっている。


 俺もこの現実を見る限り、横暴な法案審議や本会議での採決なども行われると思う。


 総理の福原の念願は憲法改正だった。
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