つまり党に不満を持ったからといって、すぐに離党し、新党を結成するというのは昔の話なのである。


 俺も岩原のお抱え運転手をしながら、そんなことばかり考え続けていた。


 まあ、別に岩原のやっていることが決して悪いというわけじゃなかったのだが、新党結成自体、前時代的な政治家のやることだなと感じていて……。


 俺の仕事は続く。


 お抱え運転手はかなりきつい。


 だが、政治の裏は舐めるように知れる。


 それは間違いなかった。


 俺もずっとハンドルを握りながら、後部座席に岩原が座っているのを常日頃の状態として受け入れている。


 違和感はない。


 ただ、政治家というのがこんな感じなのかなということは分かっていた。


 とにかく持っているスマホなどから電話を掛け捲る。
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