そしてシンパの議員がいれば、一人でも多く取り込む。


 この繰り返しだった。


 俺も半ば呆れている。


 権力闘争に身を置く主を持って。


 それに社自党代表選がある以上、代表戦後の多数派工作は激化するものと思われた。


 ずっと仕事をしながら、そんなことばかり考えている。


 広がっている秋の空のように、心が変わりやすい。
 

 俺もそう思っていた。


 別に自分には関係ないのだが……。


 その日の移動中、不意に後ろから、


「堀原」


 と呼ぶ声が聞こえる。


「はい」
< 54 / 328 >

この作品をシェア

pagetop