絶対にみちゃダメ!
 ニコニコしていた虎も、怒られすぎてとうとう堪忍袋の緒が切れたようだった。

「なんだよ、雅には触らないだろ」

「触らないでいいわよ、キモイ!アンタなんかゴメンだわ」

 雅は眉間にしわを寄せて、とても良家のお嬢様とは思えない暴言を吐いた。

「別に、こっちも雅なんか選ばないよ。俺は小町に夢中なの!」

 うう、勘弁して。

「小町ー。3人ぐらい子供つくろうな?」

 その言葉に、脱力しそうになった。



 だーれが、あんたの……という言葉をしっかり飲み込んだ。

 耐えろ、耐えるんだあたし!



 なんで反撃できないかっていうと……それにはちょっとした理由があった。





 あたしは良家の子女でもなんでもなくて、ごくごく一般家庭……それもおよそお金持ちとは程遠い生活レベルの家で育った。

 それなのに、この東雲学院に入ってきている。

 あたしは特待生。

 馬鹿高い授業料も、その他もろもろの諸経費もぜーんぶ無料。

 そのために必死に勉強したわけだ。

 まずオツムがよくないと、この学校には入れないから。

 他に健康状態から何から何まで、全ての難問をクリアしないとダメなんだ。



 でも、特待生になるには、更に条件があった。

 望まれれば、この学校の創立者、『東雲一族』の婚約者にならなくちゃいけないんだ!

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