絶対にみちゃダメ!
 いつの間に愛を語り合うところまで虎の脳みその中では進んでるみたいだ。

 どーにかしてよ、まったく。



 もちろん、黙っている雅ではなかった。

「なーにいってるのよ!アンタの家みたいなのじゃ小町がのんびり出来ないでしょ」

 確かに。

 寮や学校のゴージャスな雰囲気慣れたのも最近やっとなのに、それを上回る豪華絢爛な虎の家なんかじゃ確かに落ち着けない。

「なんでだよー。俺んち来たら、エステとか呼んであげるよ。それでその美しさに磨きをかけるんだよ、小町!」

 普通の女の子だったら魅力的なんだろうけどね。

 現に一つ向こうの伊鈴がピクンと反応した。


「別に、今のままでいいし……」

 髪の毛には気を遣ってるけど、外見なんか別にどうでもよかった。

 だらしなかったり、人に嫌な気分をさせたりしなければ。

「もったいねーよ!もっと俺のために美しくなってくれ、小町!」

 余計やる気が出ないどころか、むしろダウンだよ。




「別に、キレイにならなくたっていいじゃない」

 雅がそんな風に言った。

 虎に対するケンカ口調ではなかったから、あたしは思わず顔を上げた。

「小町は十分キレイだと思う」

 目が合うと、雅はニコリと微笑んで、あたしの髪の毛を一房すくった。

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