絶対にみちゃダメ!
 あたし、すっかりだまされていた。

「そんな理由なの?大体、前の同室の子もだましてたの?それともこんなコトしたの?」

 もっと怒りたいのに、気力もわかない。

 なんだか体が妙にだるいんだ。

「ううん、前の子は気づかなかった。俺もこんな気持ちになんか、ならなかった」

 雅はあたしの事を抱き締めてこようとする。

 どういう神経してたら、こんな事が出来るんだろう。



 あたしはぐっと腕を突っ張った。

「やめてよ」

「なんで」

 相変わらず、全然雅は悪びれた様子が無い。

 本当に、何を考えているんだか分からない。

 目的も分からないし。

 なんで女装して学校にいるの?

 別に男のままで通学したっていいじゃない。

 聞きたいことばかりが頭の中に沸いてくる。

 でも、あまりの事に、何から聞いたら言いかもわからなかった。


「それはこっちの質問よ」

 あたしは涙の乾いた目で、青い瞳をにらみつける。

「なんでこんなことしたのよ」

「わかんない。でも、すっごいしたくなったんだ。こんな気持ち初めてだ。小町にしか感じない」

 雅はそれを繰り返すだけだ。

 あたしはそれについては質問するのを諦めた。

 きっと、満足する答えなんかもらえない。



 どうせ、あたしは東雲一族の誰かに気に入られれば、将来身を差し出さなきゃいけない。

 本当に好きな人と結ばれないのなら、誰となっても一緒だよ。



 前まで、そうできるって思っていたのに。

 お兄ちゃん……。


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