絶対にみちゃダメ!
 今更、涙が噴出してきた。

 雅が優しく抱き締めて、髪を撫でてくれる。

 酷いことしたくせに優しくするなんて。



 よくよく考えてみたら、雅は割りと背も高めで、声もハスキーだった。

 手だって骨ばって感じる。

 なにより身体にまわってくる腕は細かったけど、全然女の子のモノとは似ても似つかなかった。

 なんでいままで女の子だなんて思えていたんだろう。

 信じられない。


 誰が男の子が女装して学校にいるなんて想像できる?



 お金持ち学校だからなの?

 でも、そう思ってしまうには納得がいかなすぎた。

 一体雅の目的はなんなの?



「怒った?」

 雅が不安そうに聞いてくる。

「あたりまえでしょ……でも」

 もう済んじゃったことは仕方ないよね。

 本当はそう簡単に割り切ったりできない。

 絶対許せないって怒って抱き締めてくる雅をベッドから蹴落としたかった。

 体が痛くてそんなことできない。




 それに、過ぎた時間は取り戻せない。

 これからどうするか考えなくちゃいけない。

 そっちにパワーを使ったほうがマシだ。

 あたしが今まで生抜くために身につけてきた考え方だ。


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