絶対にみちゃダメ!
「小町!」

 タイミングを見計らったように後ろから声がかかって振り返った。

「虎!」

 あたしは振り返るなり、目をまん丸に開いた。



 だって……。

 今日の虎はさすが主役。

 白いロングタキシード姿だった。

 結婚式の新郎かよ!なんて突っ込みたくなるところだけど、虎にはなんだかとてもよく似合っていた。




 制服は着崩しているけど、これはピシッと着こなしている。

 当然洋服も最高級品なんだけど、多分虎自体がこういうのが似合うんだ。

 もともと美形だし。

 今はいつも無造作にしてある髪を、綺麗に流して固めてあった。

 ちょっと大人っぽく見える。



 整えられた黒い髪、通った鼻筋。

 目じりの少し上がった黒い瞳。

 少し野性味を帯びた表情。

 やっぱり中身を知らなければ、ぽーっと見とれちゃいそうな感じだった。




 雅も虎も中身が大問題。

 それでも、やっぱりカッコいいものはカッコいいんだね。

 認識を新たにしたあたしだった。

 だから惚れるとかは、全然ないんだけどさ。


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