大嫌いなアイツ
 




急に入ったバイトのシフト。
俺を厨房に見つけた時の梨夏の驚く表情が目に浮かんで、ちょっとにやけてしまう。


厨房の入口を通り過ぎ、フロアの様子を見ようとした時、フロアから梨夏とミキさんの話し声が聞こえてきた。


「…どうしよう…言えない…!」

「何、岡部まだウダウダしてんの?」

「だって、ミキ先輩~」

「サクッと言っちゃえばいいのよ。吉野くんに、好きかって」

「そんな…あからさまじゃないですか?」

「そんなことないでしょ。ていうか、岡部が嫌いだったなんて、そっちの方が驚いたけどね」

「…ベタベタするの、嫌いなんです。甘ったるい感じもダメで…」

「へぇ?そういうものなの?何となくだけどさ、吉野くんは好きそうな気がする。そういうの」

「…ですかねぇ。困ったな…どうしよう」


…。


何だ?この会話…。


 
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