想 sougetu 月
 困惑する私を見て斎はため息を1つもらすと、いきなり私の上からどいて立ち上がる。

「斎?」
「ちょっと待ってて」

 それだけ言うと、部屋の片隅まで歩いていき、しゃがみ込んで何かをし始めた。

 何をしているのかと身を起こそうとした時、斎が立ち上がってから振り返り、こちらに戻ってくる。
 その手にはコンセント用の延長コードが握られていた。

「コードなんてどうするの?」

 私がそう聞くと斎は少し意地悪げな笑みを浮かべた。
 その笑みを見て何やら嫌な予感がしてくる。

「な……何?」
「手を貸して?」

 そう言う斎は、男の人なのに色っぽく目を細めて私を見ている。
 斎は美青年と言われるほど容姿がいい。

 男の色気とはどんなものか、斎を見て理解できたような気がした。

 斎の妖艶な雰囲気に飲まれ、私は言われるままに左手を差し出す。
 その手を優しく取り、手首にコードを巻きつけて縛ると、その余った分を今度は私の左足首に巻きつけ縛った。

「痛くないか?」
「えっと……大丈夫みたい」
「じゃあ、反対も」

 手の平を向けられ、私は右手をその上に乗せる。

 斎は嬉しそうに妖艶な笑みを浮かべて、もう1本のコードを同じように巻きつけて左足首と繋いだ。
 
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