想 sougetu 月
 触れられないように逃げても、斎は私を捕まえる。

「もうだめだってば!」
「どうして?」
「もうさんざんしたでしょ」

 背中からがっちり斎に抱きしめられ、おしりに当たる存在に困ってしまう。

「何でそんなにしたがるの?」
「興奮するから」
「じゃあ興奮しないで」
「無理、入れっぱなしでもいいくらい興奮してる」

 あの顔でさらっと言われ力が抜ける。

「入れっぱなしにしていい?」

 斎は私の耳元で色っぽい声で囁く。

「だめ! そう言って結局動くもん」
「だって気持ち良過ぎて、我慢出来なくなるんだ……」
「ひっ!」

 耳たぶをまた噛まれて悲鳴が出る。

「耳は噛んじゃだめだって言ってるでしょ!」
「反応する月子が悪い」

 そう言って股間にあるものをさらに私に押し付けてくる。

「いやーっ! 変態みたいなことするのやめて!」
「変態でもいい。しよう?」
「しない!」

 私が振りほどこうとした時だった、階段を登ってくる音が聞こえた。
 
「何さっきからバタバタと騒いでるの?」

 美鈴おばさんの声に私の体が飛び上がる。

 斎は私の部屋で私を抱きしめていて、こんな姿を見られたらと思うと怖くて斎から離れようともがいた。
 しかし、斎は抱きしめる力をますます強くしただけで離れようとはしない。

「斎、離して!」
「なぜ?」
「おばさまに見られちゃうでしょ!」

 美鈴おばさんに聞こえないように、声を1トーン落として斎と話す。

「見られてもいいだろ?」
「だめ!」
「俺は隠すことに納得してない」
「斎、お願い……」

 泣きそうになりながら斎の腕を叩くと、腕が緩められ斎が離れてくれる。
 でも何も言わずに怒った顔をしてドアから出て行ってしまった。

 そんな斎の行動に悲しくなってしまう。
 
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