想 sougetu 月
「オヤジには叔父さんに電話する前に話して、昨日やっと書いてもらえた」
「……」
「婚姻届を書いたからって今すぐ出す必要なんてない。お互いまだ学生の身だ。月子の気持ちが同じになるまで待つよ」

 2人の両親が書いてくれたってことは、両親が結婚を許してくれたってことだ。

「ど、どうしていきなり結婚なの?」
「1つ屋根の下で一緒に生活してるんだ。……気持ちを確認し合ったらもう歯止めが効くはずないだろ。つい、頭に血がのぼって我慢出来なってしたけど、俺は月子の一生に責任を持てる年齢になるまで我慢するつもりだった」

 次々と聞かされる事実は、斎が真剣にたくさんのことを考えてくれていたことがわかる。
 そのことに驚きを隠せない。

「月子が俺達の関係を隠すのも、好きだと言わないのも、俺の気持ちを信じてないんじゃないかって思ってた……。オヤジはなかなか婚姻届に名前を書いてくれないからそれを見せるわけにもいかなかったし、どんなに自分の心を取り出して月子に見せることが出来たらって思ったか……」
「ごめんなさい……」

 自分の馬鹿な思い込みが斎を苦しめていたことに胸が痛む。
 斎は、私のせいでこれほど傷ついていたのだ……。

 私は自分の状態も忘れて、斎の側に行こうとしてベッドから転げ落ちる。
 でも、私が床に落ちることはない。

 斎がすぐに反応して手を伸ばしてくれたので、私は斎の中へ転がり落ちることが出来た。

 自分のすぐそばで感じる斎の体温。
 しっかりと斎の服を握りしめる。
 
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