夜明け前


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要さんと奏音さんが、学校のことを話し出した途端、珠花の顔色が変わった。


どんどんと曇って行く表情。


「…しゅー、あの日、なにがあったの?」


そう聞いた瞬間、怯えるように目を見開いた珠花。


何も無いと言いたいのか、首を横に振って、口をつぐむ姿に、心が痛んだ。


「…言えない?どうして?…あの姿を見て何も無かったなんて、思えないよ」


そうやって聞いても、首を横に振り続ける珠花。


なにも無いはずなんて無いんだ。


ひどく傷ついて、怯えていたあの表情は見ていて辛かった。


あんな姿、見たことなかった。


「ねぇ、言ってよ。言ってくれないとわからないよ」


言って欲しいのに言ってくれない珠花に、少しイラついてしまった。


あぁ、こんな言い方したら余計言わなくなるのに。


「はぁ、」


思わずため息をついてしまう。


そんな空気を珠花が読み取らないはずも無く。


気が付けば席を立って、リビングから出て行ってしまって、流石に大人達も黙り込んでしまっていた。


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