夜明け前


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「「…え、入院?」」


「そう。てかやっぱり双子だよね、ぴったり揃ってる」


「…急にどうしたの。入院って、どこが悪いの」


「さくちゃん、大丈夫。なんともないの、ただの検査入院」


「検査入院…?」


「そう。だからしゅーちゃんも、そんな顔しないの」


「でも…、いきなりじゃない?」


「ん、母様ね、昔体が弱くて…今は大丈夫なんだけど。念のためにって、昔通ってた病院の先生から連絡があったの」


「本当に念のため?」


「うん、そう。いい機会だしね、しっかり検査してもらわなきゃ」



そう言っていつものように笑う母に、少しの不安を感じたけれど。


検査入院だから大丈夫だと、自分に言い聞かせて。


だけど言いようのない不安が襲ってきて、そっとさくと手を繋いだ。


今まで母様とさくに甘えきっていた私。


不安が消えなくて、その日の夜は眠れなかった。



ここで気づいていれば、なにか変わったのだろうか。


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