夜明け前
「図書室が遠い…」
歩いても歩いても、着く気配がしない。
「はぁ、…つらいな」
廊下を歩く足取りがすごく重くて、段々熱が上がって来た感じがする。
「つのぴーめ…」
―ちょっと休憩。
荷物を置いて、廊下にしゃがみこむ。
―さくに迷惑かけちゃうし…。
嫌だなぁ。ひどくならないといいのに。
「―ねぇ、本城さん」
「?」
―あ、相野さん…。
考え込んでいて人の気配に気づかなかった。
「ちょっと話したいことがあるんだけど、いい?」
右隣りに立って、作った笑顔で首を傾げる相野さん。
―なんかちょっと怖い。
「うん、ちょっとなら…」
「よかった。こっち来てくれる?」
「うん」
なんとなく殺気立っている彼女の後ろについて行けば、お呼びだしお決まりのトイレ。
中に入れば数人の女子がいて、舐め回すような視線を向けられる。
―居心地悪すぎる。
彼女達には全く見覚えがない。