夜明け前


成長するにつれて、色々なことが理解できるようになって、聞きたくないことも聞こえてきて。


いつも心の耳をふさいでた。


黙っててよ、って。


あなたたちになにがわかるの。


関係ないでしょう、そう思ってた。


だから、思えば小学校の高学年あたりには周りから距離を置いた、随分と冷めた子供になっていた。


母とさく以外はどうでもよくて。


なにかに執着心を抱くこともなく。


友達とはしゃいで遊ぶこともなかった。


だから、親しい友達ができるわけもなく。


欲しくないと思ってるわけじゃないけど。


当然学校なんて楽しくなくて。


だからといって、小さい頃みたいにさくについて回るわけに行かず。


いつも一人でなにをするでもなく、ぼーっと過ごしてた。


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