夜明け前
そう思い直して珠花の看病をしていたけれど、時間が経つにつれてどんどん悪くなる珠花の症状に不安が募る。
ベッドで苦しそうに眠る珠花の姿が母様と重なって、このまま珠花まで失ってしまうのかと、そんな考えで頭の中がいっぱいになる。
珠花がいなくなるなんて考えられない。
お腹の中からずっと一緒で、二人でいるのが当然だった。
たった二人きりの家族。
珠花がいるから、生きていられるんだ。
だから珠花、早く元気になって笑顔を見せて。
さくって呼んでよ。
我が儘だって、なんだって聞くから、いなくならないで。
…お願いだから、一人にしないで。
そう心の中で願いながら珠花の手をギュッと握りしめて、珠花の隣に寝転んだ。
「…明日の朝には、よくなりますように」
熱で少し汗ばんだ珠花の額に、そっとキスを落とした。