わたるんといっしょ


「生きてるカァ。なら、ますますもって、“助けられないね”」


「なん……」


「“生きている人間は助けられない”のよ、アテクシィ」


ごめんね、と悪びれもせずに胡弓は鋏の持つ手を変える。


「“職業柄”、そーゆー決まりなのよー。“生きた人間には、関わるな”。アテクシの仕事は、死人相手だからぁ」


もう一方の肩を叩く胡弓には、なんて言葉を返していいか分からない。


いや、それ以前に、好美には気になったことがあった。


――『生きた人間には関わらない』って。


だとすれば、“私の前に現れたこの女は”――


「でーも、好美ちゃん次第で、アテクシ、頑張っちゃおうかなぁ」


< 105 / 454 >

この作品をシェア

pagetop